名草戸畔(なぐさとべ)古代紀国の女王伝説

名草戸畔 古代紀国の女王伝説〜増補改訂版〜
発売決定!

この作品は、
名草地方(現在の和歌山市と海南市)で
語り継がれてきた
古代の女王
名草戸畔(なぐさとべ)の伝承をもとに
構成したものだ。


名草戸畔(なぐさとべ)とは、
紀国(現在の和歌山県)に
およそ二千年前に実在したと思われる
女性首長のことだ。
『日本書紀』に、ひと言だけ、
神武に殺されたと記されている。
土地には、ナグサトベの遺体を、
頭、胴体、足の三つに分断し、
三つの神社に埋めたという伝説もある。
多くの人は、名草戸畔(なぐさとべ)は
神武あるいは神武軍によって、
遺体を切断されたという。


ところが、わたしが調べていくうちに、
一般的に語られていることとは違う伝承を
郷土史家・小薮繁喜氏と
海南市の「宇賀部神社(おこべじんじゃ)」
宮司家出身・小野田寛郎氏から採集した。


わたしは、この二人が見ている
古代の風景を描いてみたいと考えた。


二人が語る伝承は、
この土地に暮らす人たちの間で
語られてきた物語だ。
したがって、本書は『日本書紀』にも
『魏志倭人伝』にも書かれていない
「民間伝承」が中心になっている。


そうした民間伝承は、
史実かどうかわからないので
受け入れられないという人も多い。
なかにはこの本を読んで、
「伝承に都合のいい資料ばかりを
用意したのではないか」
といいだす人もいると思う。
しかし、庶民の間でこのような物語が
伝わってきたことも、また事実なのだ。


日本では、
外国のネイティブ・アメリカンや
アボリジニの伝承は
文化として評価されるのに、
自国の民間伝承や
宮司家の「口伝」となると、
眉唾扱いされてしまうことが多い。
なぜなら日本は様々な文化を受け入れて
近代化の道を歩んだため、
古代の神話や伝承が原型を止めた形で
残っているわけではないからだ。


後世、土地の人たちや
宮司家の妄想によって
変形してしまった伝承もある。
しかし、たとえ多少変形したとしても、
伝承が根強く生き続けてきた背景には、
それなりの理由があるはずだ。


小野田氏によると、
小野田家はナグサトベの
末裔であるという伝承が
内々で伝えられてきたという。
信じる・信じないは別にして、
読者の皆さんには、
今まで語られることがなかった
先住民たちの物語を楽しんでもらいたい。
そして、幼い頃から
この伝承を聞いて育ち、
自分自身を
ナグサトベの子孫と信じてきた
小薮氏と小野田氏の心に触れて欲しい。


数千年前に生きたナグサトベを
遠い祖先と感じる二人の心からは、
人の営みが何千年もの積み重ねの上に
成り立っていることを知ることができる。
伝承は、すべて史実ではないかもしれないが、
わたしたちの心にとって
大切なものがたくさん含まれているのだ。


文・なかひら まい(著者)


著者プロフィール 1970年3月9日生まれ。作家・イラストレーター。セツ・モードセミナー卒業後、雑誌を中心にイラストレーターとして活躍。2005年12月『スプーと死者の森のおばあちゃん~スプーの日記』で作家デビュー。2007年6月『スプーの日記2暗闇のモンスター』を、2008年1月『スプーの日記3地下鉄の精霊』を発表。2010年5月、バンビより『ひとりぼっちのねこ』シリーズTシャツ、2010年最後の満月の日、『名草戸畔 古代紀国の女王伝説』初版本を、2013年4月、同書の増補改訂版をリリース。公式サイトはこちらです






名草戸畔 古代紀国の女王伝説〜増補改訂版〜
なかひらまい 著
取材協力:小薮繁喜・小野田寛郎
写真協力:小野田麻里
装幀・装画:なかひらまい
スタジオ・エム・オー・ジー・刊
四六版ソフトカバー288ページ(初版本より32ページ増)
価格:1800円+税
ISBN978-4-905273-00-4 C0039 1800E

※増ページのため初版本より300円値上げしましたが、
通販の送料(300円)を無料にしました。
この本は一般書店では販売していません。
増補改訂版よりAmazonでもお取り扱いを始めました。
お取扱店・通販などは下記までお願いします。

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本の目次

第一章 謎の女王と里の伝承

第一章 プロローグ
旅のはじまり
物語を探せ
名草戸畔の基礎知識
遺体を切断された名草戸畔
名草王國の盛衰
名草の里へ
伝説の神社
名草山の奇跡
小薮繁喜氏と名草戸畔
演劇「名草戸畔」
名草山と中言神社
「小薮台本」は伝承か、創作か?
名草戸畔は男か? 女か?
名草戸畔研究の限界


第二章小野田寛郎氏が語る名草戸畔伝承

第二章 プロローグ
小野田寛郎氏と名草戸畔
神武東征のあらまし
小野田寛郎氏インタビュー
口伝に残された庶民の歴史
全国各地に残された口伝
小野田家と宇賀部神社の歴史
名草戸畔の足跡~そのはじまり
名草戸畔、木国から紀国へ
出雲族との融合
イタケルとの融合
神武軍との戦い
熊野へ進軍した神武軍とその後のヤタガラス
ナガスネヒコの終焉と紀氏の台頭
『日本書紀』の成立と名草戸畔
名草戸畔の死と生
名草戸畔年表


第三章 名草戸畔としあわせの女王

第三章 プロローグ
「小野田口伝」の地を訪ねて
名草の山信仰
名草戸畔と楠信仰
名草戸畔と竜蛇信仰
名草戸畔と祖霊信仰
名草戸畔は生きている

名草戸畔 顛末記
名草戸畔伝承から見えてきたこと(32p/増補改訂版のみ収録)

付録1〜演劇『名草戸畔』台本(増補改訂版)
付録2〜紀氏関連の系図